2011年7月1日付で東芝 セミコンダクター社とストレージプロダクツ社は統合し、株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社になりました。このページは、半導体製品の信頼性情報について説明しています。
MIL-HDBK-217による電子部品の故障率予測
[2011年4月現在]
半導体デバイスの故障率を、フィールドでの実績データに基づいて集計、予測したものとしてMIL-HDBK-217があります。
MIL-HDBK-217には、詳細情報を必要とする「部品ストレス解析予測法」と、「部品ストレス解析予測法」より少ない情報で済み、部品数量・品質のレベル・及び機器の環境に関する情報が必要となる「部品点数信頼度予測法」の2つの信頼度予測方法が示されております。
ここに記載されているデータは、MIL規格に則って調達された多数の軍用電子機器のフィールド使用に基づいて集計されたデータにより確立されたものですが、同時に軍用電子機器を調達する際の要求事項として制定されたため、安全係数を十分に考慮した厳しいものであり、予測故障率は実績と比較して1~2桁高い値になっていると言われています。
そのため、一般用に適用した場合、以下の1∼3に挙げられるような理由により、半導体デバイス、特にIC/LSIに対し、その予測値が十分には実情に合わない場合があります。
- 半導体デバイス、特にIC/LSIでは技術革新が急速に行われています。したがって、MIL-HDBK-217のベースデータの数値が、必ずしも現在の技術レベルすなわちデバイスの信頼性レベルを反映したものとはなっていません。
- 故障率一定 (指数分布) を仮定しているが半導体デバイスの場合、時間とともに初期欠陥または潜在的欠陥が消滅していくことから、故障率は減少する傾向にあります。したがって、予測の対象となる時間によって故障率の補正を行う必要が生じる場合もあります。
- 故障率の予測を正確に行うには、故障メカニズムとの対応が必要であり、故障モードはデバイス構造、プロセス技術などとの関連を強く持ちます。MIL-HDBK-217では、これらの点を簡略化しております。
半導体デバイス、特にIC/LSIは技術的にいまだ発展段階にあり、集積度および機能において飛躍的な進歩をとげています。信頼性についても同様なことがいえ、同一製品について見れば、故障率は年々改善されていくことになります。また、機能および集積度が増した新製品についても、その集積度が上がった分だけの故障率が増加するのではなく、デバイス当たりの故障率はあまり変わらないといえます。
以下、部品ストレス解析予測法について記載いたします。
IC/LSIの故障率モデル (部品ストレス解析予測法)
「部品ストレス解析予測法」は部品カテゴリー別に故障モデルが示されています。マイクロプロセッサー、MOSデバイス、デジタル及びリニアゲート/ロジックアレイ、バイポーラデバイス・デジタル及びリニアゲート/ロジックアレイ等に対して基本式は以下に示す通りになります。
ここで、
λp: 部品故障率 (故障数/106時間)
C1: ダイ複雑度故障率
πT: 温度ファクタ
C2: パッケージ故障率
πE: 環境ファクタ
πQ: 品質ファクタ
πL: 習熟ファクタ
をそれぞれ表します。
なお、個別半導体、60,000ゲートを越えるCMOS、メモリー等についてはそれぞれ別のモデルが示されています。
以下にマイクロプロセッサー、MOSデバイスモデル式にある、C1、πT、C2、πE、πQ、πLについて記載します。
- C1: ダイ複雑度故障率
表 1 バイポーラデジタル及びリニアゲート/ロジックアレイダイ複雑度故障率-C1 デジタル リニア PLA/PAL ゲート数 C1 トランジスタ数 C1 ゲート数 C1 1∼100 0.0025 1∼100 0.010 200以下 0.010 101∼1,000 0.0050 101∼1,000 0.020 201∼1,000 0.021 1,001∼3,000 0.010 1,001∼3,000 0.040 1,001∼5,000 0.042 3,001∼10,000 0.020 3,001∼10,000 0.060 - - 10,001∼30,000 0.040 - - - - 30,001∼60,000 0.080 - - - - 表 2 MOSデジタル及びリニアゲート/ロジックアレイダイ複雑度故障率-C1*注 デジタル リニア PLA/PAL ゲート数 C1 トランジスタ数 C1 ゲート数 C1 1∼100 0.010 1∼100 0.010 500以下 0.00085 101∼1,000 0.020 101∼300 0.020 501∼1,000 0.0017 1,001∼3,000 0.040 301∼1,000 0.040 2001∼5,000 0.0034 3,001∼10,000 0.080 1,001∼10,000 0.060 5,001∼20,000 0.0068 10,001∼30,000 0.16 - - - - 30,001∼60,000 0.29 - - - - *注: 60,000 ゲートを越える場合には、MIL に別のモデルが示されています。
表 3 マイクロプロッセダイ複雑度故障率-C1 ビット数 バイポーラ MOS C1 C1 8以下 0.060 0.14 16以下 0.12 0.28 32以下 0.24 0.56 - πT: 温度ファクター
表 4 全てのマイクロ回路の温度ファクター TTL, ASTTL,
CML, HTTL
, FTTL, DTL,
ECL, ALSTTLBiCMOS,
LSTTLIII,
I3L,
ISLデジタルMOS,
VHSIC
CMOSリニア
(バイポーラとMOS)メモリ
(バイポーラとMOS),
MNOSGaAs
MMIC
能動素子GaAs
デジタル能動素子Ea(eV) →
Tj(°C)0.4 0.5 0.6 0.35 0.65 0.6 1.5 1.4 25 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 3.2−9 1.0−8 30 0.13 0.14 0.15 0.13 0.15 0.15 8.4−9 2.5−8 35 0.17 0.19 0.21 0.16 0.23 0.21 2.1−8 5.9−8 40 0.21 0.25 0.31 0.19 0.34 0.31 5.2−8 1.4−7 45 0.27 0.34 0.43 0.24 0.49 0.43 1.3−7 3.1−7 50 0.33 0.45 0.61 0.29 0.71 0.61 2.9−7 6.8−7 55 0.42 0.59 0.85 0.35 1.0 0.85 6.7−7 1.5−6 60 0.51 0.77 1.2 0.42 1.4 1.2 1.5−6 3.1−6 65 0.63 1.0 1.6 0.50 2.0 1.6 3.2−6 6.4−6 70 0.77 1.3 2.1 0.60 2.8 2.1 6.8−6 1.3−5 75 0.94 1.6 2.9 0.71 3.8 2.9 1.4−5 2.5−5 80 1.1 2.1 3.8 0.84 5.2 3.8 2.9−5 4.9−5 85 1.4 2.6 5.0 0.98 7.0 5.0 5.7−5 9.4−5 90 1.6 3.3 6.6 1.1 9.3 6.6 1.1−4 1.7−4 95 1.9 4.1 8.5 1.3 12 8.5 2.1−4 3.2−4 100 2.3 5.0 11 1.5 16 11 4.0−4 5.8−4 105 2.7 6.2 14 1.8 21 14 7.5−4 1.0−3 110 3.2 7.5 18 2.1 28 18 1.4−3 1.8−3 115 3.7 9.2 23 2.4 35 23 2.4−3 3.1−3 120 4.3 11 28 2.7 45 28 4.3−3 5.3−3 125 5 13 35 3.1 58 35 7.5−3 9.0−3 130 5.8 16 44 3.5 73 44 1.3−2 1.5−2 135 6.7 19 54 3.9 92 54 2.2−2 2.4−2 140 7.7 23 67 4.4 120 67 3.7−2 3.9−2 145 8.8 27 82 5.0 140 82 6.1−2 6.3−2 150 10 32 100 5.6 180 100 1.0−1 1.0−1 155 11 37 120 6.3 220 120 1.6−1 1.6−1 160 13 43 150 7.0 270 150 2.6−1 2.4−1 165 15 50 180 7.8 330 180 4.1−1 3.7−1 170 16 59 210 8.7 400 210 6.4−1 5.7−1 175 18 68 250 9.6 480 250 9.9−1 8.5−1

Ea: 有効活性化エネルギー (eV): 上記表参照
Tj: 最悪時のジャンクション温度 (シリコンデバイス) 或は平均能動デバイスチャンネル温度 (GaAsデバイス)
注: Tj = Tc + P·θjc
Tc = ケース温度 (°C)、P = デバイス消費電力 (W)、θjc = ジャンクション・ケース間の熱抵抗 (°C/W) - C2: パッケージ故障率
表 5 全てのマイクロサーキットに対するパッケージ故障率-C2 パッケージタイプ 動作ピンの数
Np密閉: はんだ付又は溶接封止DIP、ピングリッドアレイ(PGA)1、SMT (リード線付およびリード線無し) ガラス封止DIP2 50ミル間隔の中央部にアキシャルリード線の付いているフラットパッケージ3 金属封止4 非密閉: DIP, PGA, SMT (リード線付およびリード線無し)5 3 0.00092 0.00047 0.00022 0.00027 0.0012 4 0.0013 0.00073 0.00037 0.00049 0.0016 6 0.0019 0.0013 0.00078 0.0011 0.0025 8 0.0026 0.0021 0.0013 0.0020 0.0034 10 0.0034 0.0029 0.0020 0.0031 0.0043 12 0.0041 0.0038 0.0028 0.0044 0.0053 14 0.0048 0.0048 0.0037 0.0060 0.0062 16 0.0056 0.0059 0.0047 0.0079 0.0072 18 0.0064 0.0071 0.0058 – 0.0082 22 0.0079 0.0096 0.0083 – 0.010 24 0.0087 0.011 0.0098 – 0.011 28 0.010 0.014 – – 0.013 36 0.013 0.020 – – 0.017 40 0.015 0.024 – – 0.019 64 0.025 0.048 – – 0.032 80 0.032 – – – 0.041 128 0.053 – – – 0.068 180 0.076 – – – 0.098 224 0.097 – – – 0.12
1. C2 = 2.8 × 10-4 (Np) 1.08 2. C2 = 9.0 × 10-5 (Np) 1.51
3. C2 = 3.0 × 10-5 (Np) 1.82 4. C2 = 3.0 × 10-5 (Np) 2.01
5. C2 = 3.6 × 10-4 (Np) 1.08
注:
1. SMT: 面実装技術 (Surface Mount Technology)
2. DIP: デュアルインラインパッケージ (Dual In-line Package)
3. DIP封止タイプが不明な場合、ガラスタイプと仮定する。
4. パッケージの故障率 (C2) パッケージそれ自体にのみ関係している故障を考慮したものである。
回路基板への取り付けに関連する故障については 相互接続アセンブリで考慮されている。 - πE: 環境ファクター
表 6 : 環境ファクター 環境 πE 地上 (温和)
地上 (固定)
地上 (移動用)GB
GF
GM0.50
2.0
4.0海 (有蓋)
海 (無蓋)NS
NU4.0
6.0空 (有人輸送機)
空 (有人戦闘機)
空 (無人輸送機)
空 (無人戦闘機)
空 (回転翼)AIC
AIF
AUC
AUF
ARW4.0
5.0
5.0
8.0
8.0宇宙 (飛行中)
ミサイル (飛行中)
ミサイル (発射時)
キャノン (発射時)SF
MF
ML
CL0.50
5.0
12
220 - πQ: 品質ファクター
表 7 品質ファクター 記載内容 πQ クラスSのカテゴリー: - MIL-M-38510、クラスSの要求事項を完全に満たした形で調達したもの。
- MIL-I-38535およびこれに添付の付録B (クラスU) を完全に満たした形で調達したもの。
- ハイブリッド:
MIL-H-38534、クラスBの要求事項 (品質レベルK) に基づいて調達したもの。
0.25 クラスBのカテゴリー: - MIL-M-38510、クラスBの要求事項を完全に満たした形で調達したもの。
- MIL-I-38535 (クラスQ) を完全に満たした形で調達したもの。
- ハイブリッド:
MIL-H-38534、クラスBの要求事項 (品質レベルH) に基づいて調達したもの
1.0 クラスB-1のカテゴリー:
MIL-STD0-883の1.2.1項全ての要求事項に従い、MIL図面、DESC図面または政府認定の他の文書に基づいて調達したもの (ハイブリッドは含まない)。
ハイブリッドの場合、次の節に示すカスタムスクリーニングを使用すること。2.0 表 8 品質ファクター (続き)、環境ファクターカスタムスクリーニングプログラムに関するπQの表 グループ MIL-STD-883スクリーニング試験 (注3) 評価点 1* TM1010 (温度サイクル、条件B (最低))、TM2001 (一定加速、条件B (最低))、TM5004(或いはハイブリッドの場合は5008) (最高最低温度における最終電気特性)、TM1014 (封止試験、条件A、B或はC) およびTM2009 (外部目視検査) 50 2* TM1010 (温度サイクル、条件B (最低))、或いはTM2001 (一定加速、条件B (最低))、TM5004 (或いはハイブリッドの場合は5008) (最高最低温度における最終電気特性)、TM1014 (封止試験、条件A、B或いはC) およびTM2009 (外部目視検査) 37 3 バーンイン前の電気特性TM10015 (バーンインBレベル/Sレベル)および、TM5004 (或いはハイブリッドの場合は5008) (最高最低温度におけるバーンイン後の電気特性) 30 (Bレベル)
36 (Sレベル)4* TM2020 Pind (Particle Impact Noise Detection: 微粒子衝撃雑音検出) 11 5 TM5004 (或いはハイブリッドの場合は5008) (最高最低温度における最終電気特性) 11 (注1) 6 TM2010/17 (内部目視検査) 7 7* TM1014 (封止試験、条件A、B或いはC) 7 (注2) 8 TM2012 (放射線写真法) 7 9 TM2009 (外部目視検査) 7 (注2) 10 TM5007/5013 (GaAs) (ウェーハ受入れ検査) 1 11 TM2023 (非破壊的接着引っ張り試験) 1

*注: プラスチック部品には不適切
注:
- グループ1、2または3に無関係に用いた場合のみの評価点
- グループ1または2に無関係に用いた場合のみの評価点
- グループ1、2および3の範囲内において一連の試験を行う必要がある。
- 試験方法については、MIL-STD-883を参照のこと。
- 非密閉部品は制御された環境 (例えば、GBと他の温度/湿度制御環境)
内でのみ使用するものとする。
例:
- 製造業者がグループ1の試験およびクラスBのバーンインを行うとき:

- 製造業者が内部目視検査、封止試験および最終電気試験を行うとき:

他の商用または不明のスクリーニングレベル πQ = 10 - πL: 習熟ファクター
表 9 πL: 習熟ファクター 生産年数Y πL ≤ 0.1 2.0 0.5 1.8 1.0 1.5 1.5 1.2 ≥ 2.0 1.0 πL = 0.01exp (5.35 - 0.35Y)
Y = 同属デバイスタイプの連続生産年数
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